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SNS運用の内製化|外注との比較と体制の作り方【2026年】

SNS運用を外注から社内に移したい、または最初から社内で始めたい企業のSNS担当者に向けて、外注との違い、担当者1人に頼らない体制、週あたりの作業時間の見積もり方を説明します。

内製化できるかどうかは、費用の比較より先に、週に何時間を確保できるかと、担当者が休んだときに誰が代わるかで決まります。この2点を、表と手順で確かめられる形にまとめました。

SNS運用の内製・外注・併用は、担当の分け方で見分ける

SNS運用の内製化とは、企画、素材の準備、制作、投稿、コメントへの返信、数値の確認までを社内の人員で担う運用形態のことです。外注はこれらの一部または全部を社外の会社や個人に任せる形であり、併用は社内と社外で業務を分担する形を指します。

実際に決めるのは、内製か外注かの二択ではなく、業務ごとにどちらが持つかです。次の表は、同じ業務を3つの形でそれぞれ誰が持つかを並べたものです。

業務 内製 外注 併用の一例
方針と目的の決定 社内 外注先が提案し、社内が承認 社内
企画・ネタ出し 社内 外注先 社内が案を出し、外注先が整える
撮影・素材の準備 社内 社内が素材を渡す場合と、外注先が撮影する場合がある 社内
制作(文章・画像・動画の編集) 社内 外注先 外注先
投稿と予約 社内 外注先 社内
コメント・DMへの返信 社内 外注先が下書きし、社内が確認する場合がある 社内
数字の確認と改善案 社内 外注先の月次報告 社内が数字を見て、外注先に相談
投稿の最終承認 社内 社内 社内
アカウントの管理権限 社内 社内の担当者が管理者として登録されているかを確認 社内

表のうち、投稿の最終承認とアカウントの管理権限は、外注していても社内に残します。投稿は会社の発言として公開されるため、承認する人が社内にいなければ、内容の責任を負う人がいない状態になります。管理権限は、外注先との契約が終わったあとも、社内がアカウントを操作できるかどうかに直結します。

内製に切り替える作業は、外注先が持っていた行を社内へ移す作業と言い換えられます。どの行をどの順に移すかは、あとの段階表で決めます。

SNS運用の外注と内製の比較は、費用より先に3つの条件で見る

外注には毎月の請求書という見える金額があり、内製には社内の作業時間という見えにくい負担があります。そのまま並べると、内製のほうが安く見えます。比べる前に、次の3つの条件を確かめます。

1つ目は、社内で確保できる時間です。週に何時間を、誰が、他の業務を減らさずに出せるのかを、後ろの「週あたりの作業時間」の表で見積もります。

2つ目は、撮影する対象が社内のどこにあるかです。商品、現場、スタッフ、お客様の声が日常の業務の中にあり、担当者が自分で撮れるなら、素材集めを外注する理由は小さくなります。対象が遠い拠点や社外にあるなら、撮影だけを外注する併用が現実的です。

3つ目は、承認にかかる日数です。外注では承認が止まると納品が遅れ、内製では公開が止まります。投稿ごとに社長の確認が要り、返答まで数日かかる状態のままでは、どちらの形でも予定の本数を維持できない場合があります。承認の流れは、体制の説明で決めます。

内製化に向く会社と向かない会社を、条件で分ける

内製化は、外注費を減らす手段としてだけでなく、運用の判断を社内に置く手段として選ぶものです。向くか向かないかは業種ではなく、いくつかの条件を満たせるかで分かれます。

SNS運用の内製化のメリットは、現場の素材と修正の速さにある

SNS運用の内製化のメリットは、現場に近い人が素材の撮影と返信を担当できることと、修正までの時間が短いことです。

素材については、新商品の入荷、工程の途中、スタッフの作業風景など、社内にいなければ捉えられない場面をその日のうちに撮影できます。外注先に撮影を依頼する場合は、日程を調整してからの撮影になります。

修正については、投稿後に価格や日付の誤りに気づいたとき、社内の担当者が確認担当に連絡して、その場で直せます。外注先に修正を依頼する流れでは、連絡と対応の往復の時間がかかります。返信も同じで、在庫や予約の状況を知っている人が自分で書けます。返信の内容を担当者の判断で出してよいと決めてある場合は、確認の往復も要りません。

デメリットも先に書いておきます。外注費は減りますが、同じ作業の時間が社内に移ります。減らす業務を決めずに内製化すると、通常の業務が圧迫されます。次の表で「週あたりの作業時間」を先に見積もるのは、このためです。

内製化が向かない条件と、その場合の進め方

次の表は、内製化を始める前に確かめたい条件と、当てはまったときの進め方です。1つでも当てはまったら内製化をあきらめるのではなく、当てはまった業務だけを外注に残す併用にします。

条件 そのまま始めた場合に起こりうること 進め方
週に確保できる時間が、あとの表の見積もりに届かない 投稿の本数が予定より減り、止まる週が出る 本数を減らす。または制作の業務だけを外注する
投稿を確認して承認する人が決まっていない 公開前の確認が個人の判断になり、誤りの責任が曖昧になる 承認者と代行者を先に決める。決められない間は併用で始める
撮影できる対象が社内にない 投稿のネタが尽きる場合がある 素材の撮影を外注し、投稿と返信を社内で持つ
数か月のうちに、問い合わせや来店などの成果が必要 手順を覚える期間と、成果を求められる期間が重なる 外注で始め、運用を見ながら段階的に社内へ移す
広告の配信も任せたい 広告の設定と分析は投稿の運用とは別の作業になり、担当者の負担が増える 投稿を社内、広告を外注に分ける

当てはまる行が増えるほど、全面的な内製ではなく、段階的に移す進め方が合います。1つの条件が欠けたまま全面で始めると、その部分から運用全体が止まるおそれがあります。

週あたりの作業時間は、投稿本数から逆算する

内製化の見積もりでは、投稿1本あたりの作業時間に週の本数を掛けて、週の総時間を出します。次の表の時間はすべて仮の数字です。自社で1本を実際に作り、かかった時間を測って置き換えてください。

前提は、1つのアカウントで、画像と短い動画を混ぜた投稿を出す運用です。確認と承認は、制作者とは別の人が行います。

作業 1回あたり(仮) 週3本の場合 週5本の場合
企画・ネタ集め 1本につき20分 60分 100分
撮影・素材集め 1本につき40分 120分 200分
制作(文章・画像・動画の編集) 1本につき60分 180分 300分
投稿・予約 1本につき10分 30分 50分
確認・承認(制作者とは別の人) 1本につき15分 45分 75分
コメント・DMの確認と返信 1日10分、週5日 50分 50分
数字の確認と月次の振り返り 週あたり30分 30分 30分
合計 - 515分(約8.6時間) 805分(約13.4時間)

週3本の場合の合計は515分、約8.6時間です。そのうち確認と承認を担当する人の時間は45分で、残りの470分、約7.8時間が制作を担当する人の時間になります。1週間の勤務時間を40時間とすると、制作を担当する人は週の約2割を、他の業務を減らして出す必要があります。週5本では制作を担当する人の時間が約12.2時間で、勤務時間の約3割です。

この見積もりには、2つを足して確かめます。1つは立ち上げの時期です。手順書や投稿のひな形を作る間は、上の時間に加えて週に2時間ほど(仮)を見込みます。もう1つは不在の週です。制作担当が2週間休むと、週3本の運用では、制作担当の作業470分の2週間分にあたる940分、約15.7時間に担当者がいない状態になります。この数字に確認担当の時間は含めていません。この2つが、あとの「担当者1人に頼らない体制のつくり方」で副担当を置く理由です。

週3本の作業を、曜日に割り振った例(仮)

週の合計時間を見積もれたら、作業を曜日に置いて、確認の返答を待つ時間が公開に間に合うかを見ます。次の表は、週3本の合計515分を平日に割り振った仮の例です。

曜日 作業 時間 担当
月 3本分の企画・ネタ集め 60分 制作担当
火 3本分の撮影・素材集め 120分 制作担当
水 2本分の制作 120分 制作担当
木 残り1本の制作 60分 制作担当
木 先にできた2本の確認・承認 30分 確認担当
金 残り1本の確認・承認 15分 確認担当
金 3本分の投稿・予約と、数字の確認 60分 制作担当
毎日 コメント・DMの確認と返信 週あたり50分 制作担当

この割り振りは、確認担当が木曜と金曜に合わせて45分を空けられることが前提です。空かない週は、返答の期限を過ぎたときに代行者へ回す決まりが働きます。水曜の制作が遅れると木曜の確認に影響するため、制作の日は、制作担当が他の業務と重なりにくい曜日に置きます。

内製の費用は、作業時間に時間あたりの人件費を掛けて外注の見積もりと比べる

内製の費用は、月あたりの作業時間に社内の時間あたり人件費を掛け、ツールの利用料と研修費の月割りを足して計算します。月あたりの作業時間は、週の時間に4.3週を掛けた数値を基準とします。

仮の数字で計算します。週3本の運用で週8.6時間なら、月に約37時間です。社内の時間あたり人件費を仮に2,500円とすると、約92,500円になります。ここにツールの利用料と研修費の月割りを足した額が、内製の月額です。時間あたりの人件費は自社の給与から計算し、2,500円は例として置いた数字です。

外注の見積もりと比べるときは、見積もりに含まれる業務の範囲を確認します。企画と制作しか含まれていなければ、返信や数字の確認の時間は、外注を選んでも社内に残ります。比べるのは、完全に内製した場合の総費用と、外注費に社内に残る作業の人件費を足した額です。社内に残る作業の人件費は、週あたりの作業時間の表から外注に任せる業務の行を除いた時間に、時間あたりの人件費を掛けて出します。

担当者1人に頼らない体制のつくり方

担当者が1人の運用では、その人が休む、異動する、退職する、のどれかが起きると運用が止まるおそれがあります。体制をつくる目的は、特定の人が欠けても、決めた本数の投稿と返信が続く状態にすることです。人数を増やす前に、役割を分け、手順を書き、代わりの人が実際に動けるかを確かめます。

SNS運用の内製化に必要な体制は、4つの役割を2人以上で持つ形

役割は4つに分けられます。1人が複数の役割を兼任してもかまいませんが、投稿を制作した人がその投稿を承認する形(自己承認)は、人数に関係なく避けます。

役割 担う内容 不在時の代わり
責任者 目的と本数の決定、週の作業時間の確保、最終承認、外注へ戻す判断 上位の役職者を1人、事前に指名しておく
制作担当 企画、素材集め、制作、投稿、返信 副担当
確認担当 投稿前の確認(事実、写り込み、表記)と、承認の記録 責任者、または制作担当以外の社員
副担当 制作担当の作業を手順書だけで代行し、手順書を更新する 制作担当

運用人数ごとの兼務の例を示します。

体制 役割の割り当て 制作担当の投稿を承認する人 副担当が制作した投稿を承認する人
通常の担当2人と、承認代行者1人 Aが制作担当、Bが責任者・確認担当・副担当を兼ねる。承認代行者は上位の役職者など、事前に指名した人 B 承認代行者
3人 Aが制作担当、Bが副担当、Cが責任者・確認担当を兼ねる C C
4人 4つの役割を1人ずつが担う 確認担当 確認担当

この2人の体制では、Bが副担当として制作した投稿をBが承認すると自己承認になります。その投稿だけは、承認代行者が承認します。承認代行者を指名できない場合は、制作の一部を外注する併用か、3人目の確認担当を置く形を選びます。副担当は、普段から週に1本は制作と投稿を担当します。代わりに動く機会が不在の週だけだと、手順書の不備も不在の週まで見つかりません。

投稿前の承認フローは、投稿の種類で重さを変える

全投稿を責任者が見る形にすると、責任者の返答待ちで公開が遅れやすくなります。投稿の種類で確認の重さを分ける例を示します。

  • 承認済みの投稿から文面・日付・金額を変えない再掲(営業時間やイベント日程の再掲など)は、ほかの区分に当てはまらないかぎり、元の情報が今も有効かを確かめたうえで、確認担当だけで承認し、当日中に公開する
  • 新しい企画の投稿と、価格・制度・日付・時間を新たに掲載する、または変更する投稿は、確認担当と責任者が確認し、翌営業日までに返答する
  • 人物が写っている投稿、他社や特定の個人に触れる投稿、クレームに近いコメントへの返信は、責任者が確認し、返答が来るまで公開しない

1つの投稿が複数の区分に当てはまる場合は、責任者の確認を優先します。たとえば、変更のない再掲でも、人物が写っている、または他社に触れている場合は、責任者が確認します。

確認担当が毎回同じ順序でチェックする項目は、次のとおりです。

  • 日付、金額、制度の名称が、社内の元資料と一致しているか
  • 本人の了解を得ていない人物や、書類、画面、車のナンバーが写っていないか
  • 使った画像、音楽、フォントの利用条件が、会社の投稿で使うことを許しているか
  • 他社や特定の個人に触れる表現がないか
  • 問い合わせ先や予約のリンクが、現在の窓口に向いているか

返答の期限を決めても、確認担当が不在の日には承認が止まる場合があります。確認担当の代行者を決めておくことと、期限を過ぎたときに制作担当が誰に連絡するかを手順書に書くことまでを、承認フローに含めます。

マニュアルは、手順書・判断基準書・管理台帳の3つに分ける

1冊にすると、どこを更新すればよいかが分かりにくくなります。使う場面が違う3つの文書に分けます。

手順書は、毎週の作業を順番どおりに書いたものです。投稿のひな形、素材の保存場所、予約投稿の操作、返信の定型文を入れ、画面の画像を添えます。副担当がこれだけを見て投稿を出せる状態を、出来上がりの基準にします。

判断基準書は、迷う場面の基準です。批判的なコメントに返信するのか、削除するのか、責任者に回すのか。ネタが足りない週に何を出すのか。社内の話題のうち、どこまでを公開してよいのか。基準ごとに具体例を3つほど添えると、人によって判断がずれにくくなります。

管理台帳は、アカウントごとの情報を1つの表にまとめたものです。管理者として登録されている人、ログイン情報を保管している場所、連携しているツール、契約している外部サービスと更新日、素材の保存先を書きます。ログイン情報そのものは台帳に書かず、保管場所だけを書きます。担当者が替わるたびに台帳を見直し、退職者の個人の連絡先や認証手段が残っていないかを確かめます。

副担当だけで1週間運用して、引き継ぎを確かめる

引き継ぎの出来は、手順書の分量では分かりません。主担当が1週間の運用を副担当だけに任せて、止まるかどうかで確かめます。

やり方は次のとおりです。主担当は、その週は連絡を取らない日を決めます。副担当は手順書と判断基準書だけを見て、予定の本数の投稿、返信、数字の記録を行います。週の終わりに、主担当への質問の回数、手順書を見ても分からなかった箇所、各作業にかかった時間を記録します。

合格の目安は、質問が0回で、予定の本数を出せたことです。質問があった箇所は、その場で手順書に書き足します。かかった時間は、週あたりの作業時間の表の数字と比べて、仮の数字を実測に置き換えます。

この確認は、半年に1回行う運用にします。休暇や出張の前に行えば、実際の不在とも重なります。

担当者の育成から内製化を始める場合

SNS研修のページでは、講義のテーマとサポート内容を確認できます。体制や進め方を相談したい場合は、無料相談も使えます。

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外注から内製に切り替える手順

外注から切り替える場合は、外注先との契約が続いている間に、社内に移すものと順番を決めます。契約が終わってからでは、受け取りたいものを頼みにくくなります。

外注先から内製へ移すとき、受け取っておく6つのもの

契約の終了後に何を受け取れるかは、契約書や見積書の内容で決まります。次の表の6つについて、契約書や見積書に書かれているかを確かめ、書かれていなければ更新の前に書面で確認します。

受け取るもの 受け取る理由 確認のしかた
アカウントの管理権限 契約が終わったあとも、社内がアカウントを操作できるようにする 社内の担当者が管理者として登録されているかを、アカウントの設定画面で確かめる
投稿の元データ 画像や動画を再編集するために、編集前のデータと編集用のファイルが要る 編集用のファイルが納品物に含まれるかを、契約書の納品物の欄で確かめる
企画の一覧と運用ルール 過去に何を出したか、どんな基準で出していたかが分かる 投稿の一覧表と、文体や禁止事項の資料の提出を依頼する
数字の記録 過去の数字と比べて、内製後の成果を見られる 月次報告書の元になった数値の表を受け取れるかを確認する
契約・請求先の名義 広告アカウントやツールの利用料が、誰の名義で契約されているかを把握する 請求書の宛名と、広告アカウントの支払い設定を確認する
素材の利用条件の記録 画像、音楽、フォント、出演者の許可の範囲が分かる 利用条件の一覧と、期限のあるものの期限を確認する

この6つが揃ってから契約を終える進め方にすると、受け取り漏れによる手戻りを避けられます。契約の更新時期から逆算して、受け取りの依頼を早めに出します。

社内に移す範囲は、段階ごとの条件を満たしてから広げる

最初の表の行を、投稿・返信・承認と素材の撮影、企画と数字の確認、制作の順に、3つの段階で移します。各段階に「次へ進む条件」を決めておくと、経過した期間ではなく結果で進められます。

段階 社内が持つ 外注先が持つ 次へ進む条件(例)
段階1 投稿、返信、承認、素材の撮影 企画、制作、月次報告 4週続けて予定の本数を出し、返信が翌営業日までに終わっている
段階2 段階1に加えて、企画と数字の確認 制作、改善案の相談 次の1か月分の企画を、社内だけで作れた
段階3 段階2に加えて、制作 月1回の相談のみ、または終了 副担当だけの1週間の運用に合格した

各段階にかかる期間は、会社の状況で変わります。条件を満たしていない段階で次へ進むと、外注先が持っていた業務が一度に社内へ移り、週の作業時間が見積もりを超えるおそれがあります。

最初から内製で始める場合の、最初の4週間

外注の実績がない状態で始める場合は、最初の4週間を、本数より準備に使います。1週目に、目的を1つ決めます。来店、問い合わせ、採用応募のうち、数字で測れるものを選びます。2週目に、投稿の型を3つ決め、手順書の最初の版を書きます。3週目から週2本を出し、確認担当の承認を通す流れを試します。4週目に作業時間を実測し、週あたりの作業時間の表の数字を置き換えて、本数を決め直します。

併用で外注に頼むときは、成果物と締め切りで範囲を書く

制作だけ、撮影だけなど、一部の業務を外注する場合は、依頼する範囲を作業の名前ではなく、成果物と締め切りで書きます。「制作を手伝ってもらう」という書き方では、どこまでが外注先の仕事かが曖昧になり、確認の往復が増えます。

依頼書に入れる項目は、成果物の種類と本数、社内への納品日(公開日の何営業日前か)、修正を依頼できる回数と期限、素材の受け渡しの方法、編集用のデータを納品物に含めるか、使った素材の利用条件の記録です。納品日を公開日の2営業日前に置けば、確認担当の承認に1営業日を使っても、公開日に間に合います。

先ほどの6つのもの(管理権限や元データなど)を受け取る条件も、併用の契約を結ぶ段階で書いておくと、あとで内製の範囲を広げるときに頼み直す手間が省けます。

内製化をやめて外注に戻す条件を、始める前に決めておく

内製化は、始める前に戻す条件を決めておくと、続けるかどうかを感覚で決めずに済みます。条件がないまま不調が続くと、担当者の負担が見えないまま運用が止まるおそれがあります。

3か月目に次の数字を見て、当てはまった項目に応じて進め方を変えます。表の目安は例です。自社の見積もりに合わせて変えてください。

見る数字 見直しの目安(例) 当てはまったときの進め方
予定の本数に対する投稿の達成率(直近4週) 7割を下回る 制作だけを外注する併用に切り替える
実際の週あたり作業時間と、見積もりとの差 見積もりを2割以上超える 本数を減らすか、作業の一部を外注する
確認から公開までの日数 3営業日を超える週が続く 承認の種類分けと代行者を見直す
副担当が単独で出した投稿 3か月で1本もない 副担当を替えるか、役割を見直す
目的に決めた数字(問い合わせ、来店など) 3か月続けて、内製化の前を下回る 下回った原因を調べ、必要なら外注に戻す

戻すときは、すべてを外注に戻すより、止まっている業務だけを外注する併用のほうが、変更が小さく済みます。管理台帳と手順書を更新し続けていれば、外注先に渡す情報はすでに揃っています。

週次の記録は、作業の数字と成果の数字を分けて残す

戻す条件の数字は、週ごとの記録から取り出します。記録は、作業の数字と成果の数字の2種類に分けて、同じ表の同じ週の行に残します。

作業の数字は、投稿した本数、制作と確認にかかった時間、返信までの時間、確認から公開までの日数です。成果の数字は、最初の4週間で決めた目的の数字(問い合わせ、来店、採用応募のうち選んだもの)と、そこへ至る途中の反応として、保存数や返信の件数のようにアカウントの画面で見られる数字です。

作業の数字だけを見ると、本数を守れていても成果が出ているかが分かりません。成果の数字だけを見ると、数字が下がったときに、投稿の内容が原因なのか、作業が回っていないことが原因なのかを切り分けられません。2種類を同じ行に並べておけば、3か月目の見直しで、どの項目が条件に当たったかをすぐに確かめられます。

SNS研修で身につくことと、自社で決めること

担当者を育てる方法には、実務をしながら覚える方法のほかに、外部の研修を受ける方法があります。研修は操作と知識を身につける場です。自社の承認や引き継ぎの決まりは、研修の内容とは別に、自社で決める項目として扱います。

現次のSNS研修は1講義1時間・全10講義のオンライン研修で、人材開発支援助成金の要件に沿って設計しています。助成金の申請の可否や助成額は、企業ごとに事前の確認が必要です(出典: 人材開発支援助成金活用型 SNS研修サービス)。

同ページに掲載されている講義のテーマは、Instagramの基礎理解、アカウント設計とプロフィール最適化、コンテンツ戦略の立て方、画像・動画制作の基礎、リール動画の活用法、ハッシュタグとSEO対策、エンゲージメントを高める方法、インサイト分析とPDCA、Instagram広告の基礎、運用の応用戦略です(2026年10月時点)。題材はInstagramで、カリキュラムは企業の業種や目的に応じて一部調整できると記載されています。

このテーマを、内製化の体制で担う作業に対応させると、次の表のようになります。

研修ページに掲載のテーマ 対応する作業 自社で決めること
アカウント設計とプロフィール最適化、コンテンツ戦略 責任者と制作担当が、目的と投稿の型を決める 目的に置く数字、外注に戻す条件
画像・動画制作の基礎、リール動画の活用法 制作担当が、週の本数を作る 週の作業時間の実測、制作を外注する範囲
ハッシュタグとSEO対策、エンゲージメントを高める方法 制作担当が、投稿と返信を行う 返信と削除の判断基準
インサイト分析とPDCA 数字の確認と月次の振り返り 見直しの目安、数字の記録の置き場
Instagram広告の基礎 広告を併用するかを、責任者が決める 広告の担当を外注に分けるかどうか

左の列は研修ページに掲載された講義のテーマ、右の列は自社で決める必要がある項目です。承認者、確認項目、副担当、管理台帳、戻す条件は、掲載された講義のテーマ一覧からは確認できません。研修の内容にこれらが含まれるかは、申し込みの前に提供元へ確認します。含まれていない項目は、ここまでの手順で先に社内で決めておくと、受講した担当者がそのまま運用に入れます。

研修を使う場合は、受講者を制作担当だけにせず、副担当にも広げます。制作担当だけが受講すると、手順書を書く側と、手順書だけを見て動く側とで、用語や操作の前提が揃いません。副担当が同じ講義を受けていれば、1週間の引き継ぎ確認でも、手順書の言葉が共通になります。

助成金を使う場合は、申請の可否と助成額に事前の確認が必要で、要件の詳細はコースごとのパンフレットに掲載されています。確認先は、厚生労働省の人材開発支援助成金のページ(2026年10月10日確認)と、管轄の労働局です。

よくある質問

Q. 専任の担当者がいなくても、SNS運用を内製化できますか?

兼任でも内製化できます。条件は、週あたりの作業時間を見積もりどおり確保できることと、確認担当と副担当を置けることです。本文の仮の計算例(週3本、1本あたりの作業時間は仮の数字)では、制作担当の時間はおよそ7.8時間です。自社で1本を作って実測した時間に置き換えたうえで、その時間を兼任者の他の業務から減らせるかを先に確かめます。減らせない場合は、制作だけを外注する併用から始めます。

Q. 内製化したあとで、外注に戻すことはできますか?

戻せます。ただし、戻す先の外注先が見つかり、契約を結べることが前提です。戻す条件を3か月目の数字で決めておき、戻すときも、止まっている業務だけを外注する併用から始めると、変更が小さく済みます。管理台帳と手順書を更新していれば、外注先に渡す資料はすでに手元にあります。

Q. 担当者が異動や退職をするとき、何を引き継げばよいですか?

手順書、判断基準書、管理台帳の3つを最新の状態にして渡します。そのうえで、管理者として登録されている人を変更し、ログイン情報の保管場所を更新します。引き継ぎが終わったかどうかは、書類の量ではなく、副担当だけで1週間の運用ができたかで確かめます。

まとめ

SNS運用の内製化は、外注費をなくす手段ではなく、業務と責任を社内へ移す作業です。費用の前に、週あたりの作業時間(本文の仮の計算例では週3本で約8.6時間)を確保できるかと、担当者が休んだときに副担当が代われるかを確かめます。

切り替えの手順は、外注先から6つのものを受け取る、段階ごとの条件で社内へ移す、3か月目に戻す条件を見る、の順です。条件に届かない業務は、外注に残す併用で始められます。

最初にやることは、投稿1本を実際に作り、かかった時間を測ることです。その実測値でこの記事の表の仮の数字を置き換えると、自社の見積もりになります。

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週あたりの作業時間の見積もりや副担当の置き方など、自社の状況に合わせた進め方を相談できます。研修の内容は、SNS研修のページで確認できます。

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