ルームツアー動画の撮り方|工務店が見学会に活かすコツ

ルームツアー動画を撮って公開してみたものの、見学会の来場や問い合わせに結びついている実感がないという工務店・住宅会社のご担当者に向けて、企画から撮影、編集、公開後に何を見て次に活かすかまでの手順を整理しました。
目次
ルームツアー動画は、何のために撮るのかを先に決める
ルームツアーとは、住宅の内部を部屋から部屋へと歩いて回るように見せる動画のことです。玄関で靴を脱ぐところから始まり、リビング、キッチン、水回り、寝室と順番に案内していく構成にすると、間取りが伝わりやすくなります。
撮り始める前に決めておきたいのは、誰に何を見せる動画にするかです。近く開催する見学会やモデルハウスの内覧会に来てもらうための告知なのか、それとも過去に完成した施工事例を、今検討中のお客様に紹介するためのものなのか。目的によって、撮る場所も編集の仕上げ方も変わってきます。
見学会の告知か、施工事例の紹介か
見学会の告知を目的にする場合は、日時や場所がすぐ伝わるようにテロップを入れます。公開のタイミングは、予約を検討する時間を取れるよう予約受付の開始に合わせ、開催が近づいたら同じ動画で告知し直します。施工事例として長く使う動画であれば、日時のような期限のある情報は入れず、間取りや素材の選び方など、住宅そのものの魅力を丁寧に見せる構成にします。同じ現場を撮影しても、この線引きひとつで台本もカット割りも変わってきます。迷ったときは、企画書に「いつまで使う動画か」を一行書いておくだけで、途中の判断がぶれにくくなります。
見学会の当日に撮るか、完成後に撮っておくか
見学会の当日に撮った映像は、編集や公開までに時間がかかるため、その回の告知には使えません。当日の撮影は「記録」と「次回以降の素材づくり」と割り切ります。来場者や車が画面に入り込みやすく、案内役も接客と撮影を同時にはこなせないため、誰が、開催のどの時間帯に撮るのかを役割として決めておきます。
完成後、引き渡し前後の空き家で撮っておく場合は、納得いくまで撮り直せる一方、生活感がまったくない状態から撮ることになります。観葉植物やクッションなど最低限の小物を置き、暮らしのイメージを補います。次の見学会の告知に間に合わせたい動画は、当日を待たず先に用意しておくと確実です。
撮影前の準備で、映りの印象は大きく変わる
部屋の片付けと照明の調整だけで、動画の印象は驚くほど変わります。撮影前には生活感の出やすい小物や配線をいったん片付け、床や建具の汚れも簡単に拭き取っておきます。
時間帯は、日中の自然光が入る時間を選ぶと部屋が明るく写ります。逆に西日が強く入る時間帯は白飛びしやすいため、カーテンで光量を調整するか、別の時間に撮り直すほうがきれいに仕上がります。照明が足りない部屋では、手持ちの照明を一つ足すだけで十分に改善します。
撮影前に、スマートフォンの空き容量とバッテリー残量を確認しておきます。ワンカットで長く回す撮り方は思っている以上にデータ容量を使うため、途中で録画が止まると撮り直しになります。
お施主様への確認と、写り込みへの配慮
入居済みか引き渡し前かにかかわらず、お施主様の家を撮影する場合は、撮影・公開・広告での利用まで含めてどこでどう使うかを事前に説明し、了承を得てから撮影に入ります。表札や郵便物、車のナンバープレートなど個人が特定されうるものが映り込んでいないかも、撮影後に確認する習慣をつけておくと安心です。近隣の家や車が映り込む角度もできる範囲で避けます。判断に迷う場合は、社内で確認の基準を一つ決めておくと担当者が変わっても対応がぶれません。
ルームツアー撮影機材は何をそろえればいいか
最新のスマートフォン一台でも、ルームツアー動画は十分に撮影できます。難しい機材から考える必要はありません。まず考えるべきは機材の豪華さではなく、部屋の広さと動画の使い道に合わせた組み合わせです。
ルームツアー撮影機材の選び方(スマートフォン・ジンバル・広角・マイク)
スマートフォンだけで撮る場合、歩きながらの映像は上下に揺れやすく、見ている人が酔ってしまうことがあります。ジンバルを一つ加えるだけで、この揺れはかなり抑えられます。
リビングや吹き抜けなど、部屋の広がりを伝えたい場面では、広角レンズが役立ちます。標準のレンズのままだと、部屋全体を画角に収めるには壁ぎわまで下がる必要があり、下がる余地がない部屋ほど実際より狭く見えてしまいます。
広角レンズは便利な一方、画角が広すぎると実際より部屋が広く見えすぎてしまうため、試し撮りをしながら画角と立ち位置を決めます。縦型と横型で重要な部分が画角に入りきらない場合は、無理に一本の映像で兼用せず、それぞれの向きで撮り直すと仕上がりが安定します。
ナレーションを入れる動画では、外部マイクの有無が仕上がりを左右します。スマートフォン内蔵のマイクは空調や外の音を拾いやすく、声が聞き取りにくくなりがちです。ピンマイクを一つ用意するだけで、声の印象はかなり変わります。
どの組み合わせでも、まずは一部屋だけ試し撮りをしてから本番に臨むと、当日の失敗が減ります。
組み合わせごとの向き不向きを整理すると、次のようになります。
| 機材の組み合わせ | 向いている場面 | 特徴 |
|---|---|---|
| スマートフォンのみ | 短尺のSNS投稿を数多く出したいとき | 手軽に始められるが、広い空間は実際より狭く見えることがある |
| スマートフォン+広角レンズ+ジンバル | LDKや吹き抜けなど広い空間を見せたいとき | 手ブレを抑えながら部屋の広がりを伝えやすい |
| スマートフォン+外部マイク | ナレーションや会話を入れたいとき | 環境音を拾いにくくなり、声が聞き取りやすくなる |
| 一眼・ミラーレスカメラ+ジンバル | 施工事例として作り込んだ動画を残したいとき | 画質や質感で差が出る一方、操作に慣れが必要 |
最初から機材をそろえきる必要はありません。今撮りたい動画がどれに近いかを見極め、足りない部分だけ補うくらいの進め方で十分です。
動線とカメラワークの決め方
動線が行ったり来たりする映像は、見ている人を混乱させます。撮影前に、玄関からどの順番で部屋を回るかを紙一枚に書き出しておくだけで、撮影も編集もぐっと楽になります。
ルームツアー撮影のコツは「動線」と「間」にある
基本の動線は、玄関からリビング・ダイニング・キッチンへ進み、水回りを経て、二階の寝室や子供部屋で締めくくる順番です。実際に生活する人の目線に近い動きを意識すると、見ている人も一緒に歩いているような感覚になります。
カメラワークは、一棟を続けて撮る(ワンカット)か、部屋や見どころごとに分けて撮るかの二通りです。ワンカットは臨場感が出ますが、失敗すると撮り直しの手間が大きくなります。分けて撮ると編集でつなぐ手間は増える代わりに、うまく撮れたカットだけを選べます。撮影に慣れないうちは、分けて撮るほうが仕上がりが安定します。
もう一つ差がつくのが、部屋に入ってから数秒動きを止める「間」です。歩き続けながら撮ると忙しない印象になりますが、部屋の中央で一呼吸置くだけで、見ている人はその空間の広さや雰囲気を感じ取る時間を持てます。難しく考える必要はありません。
撮影と編集は、どこまで力を入れればいいか
機材やカメラワーク、編集の工夫を最初から全部そろえようとすると、かえって撮影そのものが止まりやすくなります。動画は撮影・編集とも相応の時間がかかり、力を入れた分だけ来場や問い合わせが増えるとは限りません。
今の体制でどこまでできるかを見極め、足りない部分から一つずつ手を入れます。担当業務や見学会の開催頻度によって、最初に試すべきことは変わります。
| 今の状況 | まず試すこと | 向いている動画の形 |
|---|---|---|
| SNS担当が他業務と兼任で、撮影の時間がほとんど取れない | 見学会の合間の数分で、スマートフォン1台で1分以内のカットを撮る | 編集の少ない縦型ショート |
| 撮影はできているが、編集で手が止まっている | ナレーションかテロップかを部屋ごとに決めるところから始める | 分割撮影+簡単なテロップ |
| すでに複数の見学会でルームツアーを撮っている | 過去の素材を見直し、反応の良かった構成を型として決めておく | 横型の施工事例動画 |
月2回の見学会に合わせて1本ずつ撮り、編集まで終える体制を1年続ければ、単純計算で年間24本の施工事例動画が積み上がります(あくまで一例の試算です)。無理のない頻度で続けられる形に整えるほうが、途中で止まるより資産として残ります。
動画をつくった先の集客まで整理したい方へ
ルームツアー動画は、見学会の告知や施工事例の紹介に使って初めて力を発揮します。資料には、現次の会社概要・特徴、住宅業界での支援事例、運用サービスの内容をまとめています。
縦型ショートと横型、公開先に合わせて撮り分ける
同じ現場を撮っていても、Instagramのリール、YouTubeショート、YouTubeの通常動画では、公式に案内されている画面比率や尺の条件がそれぞれ違います。撮影前にどこで公開するかを決めておくと、カメラの構え方から変わってきます。
YouTubeショートとして投稿するには、縦型または正方形で、尺が最長3分であることが条件です(2026年9月時点。※参考: YouTube ヘルプ「3 分間の YouTube ショートについて」https://support.google.com/youtube/answer/15424877)。
Instagramのリールは、画面の縦横比を1.91:1から9:16までの範囲で、解像度720ピクセル以上・フレームレート30fps以上でアップロードするよう公式に案内されています(2026年9月時点。出典: Meta公式ヘルプセンター「Reel size & aspect ratios on Instagram」https://www.facebook.com/help/1038071743007909/)。アプリで撮影する場合は合計20分までですが、3分を超えるリールは新しい視聴者にはおすすめされない、とも案内されています(2026年9月時点のヘルプの記載。仕様は変わることがあります。出典: 同ヘルプセンターhttps://www.facebook.com/help/2720958398006062/)。
公式の仕様と、この記事で勧める尺の目安を分けて整理すると、次のようになります。
| 項目 | Instagramリール | YouTubeショート | YouTube通常動画 |
|---|---|---|---|
| 公式の仕様(縦横比・長さ) | 1.91:1〜9:16、アプリ内の撮影は合計20分まで(3分超は新しい視聴者へおすすめされない) | 縦型または正方形、最長3分 | 本記事では確認していない |
| この記事で勧める尺の目安 | 1分以内 | 1分以内 | 3分から5分程度 |
| 見せ方 | 一室や一つの見どころを切り取る | 一室や一つの見どころを切り取る | 玄関からの動線に沿って一棟を通して見せる |
| 向いている使い道 | 見学会の告知、日々の発信 | 見学会の告知、日々の発信 | 施工事例の紹介、営業時の説明資料 |
縦型で撮った素材から見どころを切り出して横型の紹介動画に使う、あるいはその逆で、一本の撮影から両方の形をつくることもできます。縦位置でも横位置でも構図が崩れない立ち位置を選んでおくと、後から素材を使い回しやすくなります。
ルームツアー動画の作り方——ナレーション・テロップ・編集の流れ
撮影がひと通り終わったら、次はナレーションとテロップ、BGMを整えて公開できる形に仕上げる作業に入ります。
現次は自社のメディア運営事業として、木造住宅のルームツアーを中心とした動画コンテンツを展開しています(出典: メディア運営事業)。
撮影した素材を編集する工程は、住宅会社のご担当者にとってもっとも腰が重い作業かもしれません。ですが、ルームツアー動画の編集でやることは、実はそれほど多くありません。使う場面を選び、ナレーションかテロップかを決め、BGMの音量を調整する。ここまでできれば、十分に見られる形になります。
ルームツアー動画の作り方は「素材選び」から始まる
編集で時間を使うべきなのは、派手な加工ではなく素材選びです。撮影した映像を通しで見返し、手ブレが少なく部屋の魅力が伝わっているカットだけを残します。次に、ナレーションで説明するか、テロップで補うかを部屋ごとに決めます。生活音や環境音をそのまま活かしたい場面はナレーションを控えめにし、間取りの特徴のように正確に伝えたい情報はテロップで文字にすると、見ている人の記憶に残りやすくなります。
テロップを入れるかどうかを考えるときは、SNSでは音を出さずに動画を見る人が一定数いることも踏まえておきます。ナレーションだけに頼ると、その人たちには内容が伝わりません。部屋の名前や広さなど、聞き逃されると困る情報は、ナレーションに加えてテロップでも短く残しておくと、音の有無にかかわらず伝わる動画になります。
BGMを使う場合は、音量をナレーションより十分に小さく設定します。BGMの主張が強いと、せっかくのナレーションが聞き取りにくくなり、見学会の日時のような肝心な情報が伝わらなくなります。BGMや効果音は、編集アプリに付属する音源やフリー素材でも、商用利用・広告配信・他媒体への転載まで許可されているとは限らないため、使う前に利用条件を確認します。編集を外部に依頼する場合も、納品される音源がどこまでの用途で使えるのかを依頼先に確認しておくと安心です。
公開後は、どこを見て次に活かすか
公開後に見る指標を先に決めておくと、次にどこを直すかを判断しやすくなります。
フォロワー数や再生回数は動画の人気を映しますが、見学会の来場や問い合わせにつながっているかまでは教えてくれません。媒体の分析画面で見られる場合に、住宅会社が確認しておきたい指標は主に3つです。
1つ目は視聴維持率です。離脱が集中する場面が分かれば、次の撮影でそこを短くしたり、見せ場を前に移したりといった調整ができます。2つ目は保存数やシェア数で、もう一度見たい・誰かに見せたいと思われたかどうかの目安になります。3つ目はプロフィールへの遷移や外部リンクのクリック数で、見学会や資料請求への導線が機能しているかはこの数字で確かめます。
再生回数が伸びた動画と、問い合わせにつながった動画は、必ずしも一致しません。この前提を担当者間で共有しておくと、次の企画会議で「伸びる動画」と「来場につながる動画」を混同せずに済みます。
SNSの分析機能に加えて、動画ごとの制作時間・外注費用・用途(告知・広告・商談)・来場や問い合わせの件数を、一覧でまとめておきます。予約フォームで「何を見て知ったか」を尋ね、回答は参考として記録します。指標の名前や範囲は媒体ごとに違うため、各媒体の分析画面で確かめてから記録の項目を決めます。
撮影・編集した動画の使い道を広げる
動画は公開して終わりにせず、複数の場面で使い回すことで、撮影や編集にかけた時間を活かせます。見学会の告知はもちろん、SNS広告のクリエイティブに流用したり、営業担当者が商談でタブレットを使って見せたりする使い道もあります。
新しい施工事例が増えるたびに撮り足していくと、動画は少しずつ資産になっていきます。過去に撮った分もタイトルやテロップを整えて公開し直せば、古い動画をもう一度見学会の告知に使うこともできます。ただし、動画に映っている建物が実際の会場と異なる場合は、その旨を動画や投稿文に明記し、開催日時や会場といった情報は必ず最新のものに差し替えます。
トイレ、リビングとキッチン、浴室と洗面所という3つのリフォーム事例を、それぞれ1分のダイジェスト動画にして公開し、ホームページでは詳しい動画とビフォーアフター写真を場所ごとに載せている工務店の例も報告されています(出典: 京都・舞鶴 林田工務店リフォーム部「リフォームのビフォーアフターを動画で体感!林田工務店の施工例」note、2025年9月17日 https://note.com/hayashida_k/n/nf0a46315dad2)。ルームツアーも同じように、場所ごとに短いダイジェスト版をつくっておくと、ホームページでの見せ方の幅が広がります。
SNSの投稿企画から広告運用までを一体で見直したい場合は、住宅業界向けの支援サービスを組み合わせる方法もあります(住宅業界特化のSNS運用×イベント集客支援)。YouTubeチャンネルとしての育て方や集客の全体設計まで踏み込みたい場合は、工務店のYouTube集客を扱った記事もあわせてご覧ください。
よくある質問
Q. ルームツアー動画は何分くらいが適切ですか。
公開先によって目安が変わります。Instagramのリールや YouTubeショートで見せる場合は1分以内に収めると要点が伝わりやすく、YouTubeの通常動画で一棟をじっくり見せる場合は3分から5分程度が扱いやすい長さです。
Q. 動画への出演は、社員とお施主様のどちらがいいですか。
決まりはありません。社員が案内役を務めると撮影の日程を調整しやすく、公開のタイミングも合わせやすくなります。お施主様に出ていただく場合は、動画の使い道を事前に説明して了承を得ることと、表札や車のナンバーなど個人が特定される映り込みへの配慮を忘れないようにします。
Q. 編集は無料の機能やアプリだけで足りますか。
短尺のSNS投稿であれば、スマートフォン標準の編集機能や無料の動画編集アプリでテロップと簡単なカット編集を行うだけでも形になります。ただし、使用する音源の利用条件(商用利用や広告での利用が可能かなど)は無料のものでも必ず確認します。凝った演出を求める場合は、外部への編集依頼も選択肢の一つです。
まとめ
ルームツアー動画は、企画の段階で誰に何を見せるかを決め、動線を整理してから撮影に入ると、編集の負担も小さくて済みます。縦型と横型、社員とお施主様、ナレーションとテロップ。どちらを選ぶかに正解はなく、公開先と目的に合わせて選び分けるだけです。
一本撮って終わりにせず、見学会の告知・SNS広告・商談資料へと使い道を広げるところまでを、撮影前の企画段階で決めておきます。公開する前に、撮影に関わっていない社内の人に一度見てもらうと、担当者だけでは気づきにくい伝わりにくさに気づけます。
すべてを最初から完璧にする必要はありません。今の体制で無理なく続けられるところから始め、公開後は再生回数だけでなく、来場や問い合わせにつながっているかを見て、次の一本に活かしていきます。
ルームツアー動画の活用について相談したい方へ
企画や撮影の体制を整える余裕がない、撮った動画をどう見学会につなげればいいか分からないという場合は、現次にご相談ください。資料のダウンロードと無料相談の両方をご用意しています。